「複雑な人間模様と神さまのお気持ち」
- 佐々木 優
- 2024年7月14日
- 読了時間: 4分
2024年7月14日(日)
テキスト:使徒の働き7:17~40(新約聖書245頁)
本日もステパノの最高議会での弁論の箇所から扱います。
ヘレニスト・ユダヤ教徒(外国育ちのギリシャ語を使うユダヤ教徒)たちがステパノを訴え出た理由は、エルサレム神殿とそれにまつわる儀式律法の廃棄を教えたということで、神とモーセを冒涜した罪だということだった。
この訴えに対するステパノの弁明は、演説であり、自分の信条を盛り込んだものであり、使徒の働きの中でも最も長い。アブラハムから始まるイスラエルの歴史を詳しく物語ることによって、実は、イスラエルの歴史と人物(アブラハム、ヨセフ、モーセなど)は、イエス・キリストを約束のメシヤだと証言していることになっているのだと述べている。律法も神殿も、イエス・キリストにおいて完成したのであると・・。
ステパノは、「エルサレム神殿とそれにまつわる儀式律法の廃棄を教えた」との訴えに対してモーセの例から訴えかける。
アブラハムはイスラエルの民にとって「信仰の父」、すなわち、選びの民イスラエルのルーツであるが、指導者モーセによっての出エジプトの出来事も、イスラエルの民の信仰のルーツ「アブラハム、イサク、ヤコブの神」が生きて働かれた奇跡の出来事として代々語り継がれてきたことであった。
1.神さまが臨在される所はすべて聖なる地である
神さまはモーセにシナイ山の荒野でご自身を現わされた。
30~33節
7:30 四十年たったとき、シナイ山の荒野において、柴の茂みの燃える炎の中で、御使いがモーセに現れました。
7:31 その光景を見たモーセは驚き、それをよく見ようとして近寄ったところ、主の御声が聞こえました。
7:32 『わたしは、あなたの父祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。』モーセは震え上がり、あえて見ようとはしませんでした。
7:33 すると、主は彼にこう言われました。『あなたの履き物を脱げ。あなたの立っている場所は聖なる地である。
神さまは約束の地からは遠く離れた地でご自身を現わされた。それは、約束の地だけでなく、神さまが臨在される所はすべて聖なる地なのであり、神殿に固執するユダヤのサンヘドリンの議員に、暗にその間違いを指摘したのであった。
2.イスラエルの民の先祖たちはモーセと律法に従うことを拒否した
38~40節
7:38 また、モーセは、シナイ山で彼に語った御使いや私たちの先祖たちとともに、荒野の集会にいて、私たちに与えるための生きたみことばを授かりました。
7:39 ところが私たちの先祖たちは、彼に従うことを好まず、かえって彼を退け、エジプトをなつかしく思って、
7:40 アロンに言いました。『われわれに先立って行く神々を、われわれのために造ってほしい。われわれをエジプトの地から導き出した、あのモーセがどうなったのか、分からないから。』
ステパノは訴えかける。あなたがたは私のことを「儀式律法の廃棄を教えた」と訴えているが、そもそもイスラエルの民の先祖たちがモーセと律法に従うことを拒否したという事実があるではないかと・・・。そしてここでは暗に、あなたがたも先祖と同じであると言おうとしている(後には明確に糾弾する。7:53)。
3.拒否された者が解放者となった
神さまはモーセをイスラエルの民をエジプトの苦役から解放する解放者としてお立てになったが、イスラエルの民はモーセを拒否した(7:23~29)。しかし、実際には拒否されたモーセはイスラエルの民を苦役から解放する指導者となった。そしてここでは暗に、イエス・キリストもまた、あなたがたに拒否されたが、イスラエルの民を、そして、人類を、その罪(神さまと霊的に大きく距離が離れている故、神さまの愛が分からない)から解放する者であったことを示そうとしている(後には明確に糾弾する。7:52)。
4.モーセがイエス・キリストをメシヤだと預言している
37節
7:37 このモーセが、イスラエルの子らにこう言ったのです。『神は、あなたがたの同胞の中から、私のような一人の預言者をあなたがたのために起こされる。』
ステパノは訴えかける。あなたがたの偉大なモーセがイエス・キリストをメシヤだと預言しているではないかと・・。
ステパノは、訴えられていることへの弁明ということもあるが、それよりも、聖霊に導かれて、思いの丈を吐き出しているようにも感じる。しかし、訴え出たヘレニスト・ユダヤ教徒たち、そして、サンヘドリンの議員たちの怒りも正当なものだった(人生観、宗教観が踏みにじられた)ことを思うと、この時神さまはどのようなお気持ちだったのだろうか・・。