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「何度でもやり直しができる恵みの世界」

  • 佐々木 優
  • 8月10日
  • 読了時間: 3分

2025年8月10日(日)

テキスト:ヨナ書1:1~17(旧約聖書1,577頁)

 

 ヨナ書の一番大きなテーマは、「どんな人をも滅びることを望まれない神さま」であると言えます。その趣旨に沿ってヨナ書を見ていきたいと思います。

 1節「アミタイの子ヨナに、次のような主のことばがあった。」

 神さまは、やってほしいことがあればご自分から語りかけられます。

 2節「立ってあの大きな都ニネベに行き、これに向かって叫べ。彼らの悪がわたしの前に上って来たからだ。」

 当時の紀元前700年代頃のニネベはアッシリア王国の首都であり、当時近隣のバビロンをもしのぐ世界最大の大都市と言われました。現在のイラクの中心の町にあたります。当時、アッシリアが征服民に対して行った拷問と虐殺の残忍さは周知され、恐れられていたということですが、このアッシリアという国が道徳的に腐敗し、他国民の尊厳を全く省みることをしない振舞いが神さまの目に余り、それが限界に達した故に、神さまはヨナに異教の民ニネベに暴虐無尽の行為をやめるように訴えてほしいと告げたのです。

 しかし、ヨナはすんなりと「はい」とは言えませんでした。その理由はヨナ書4:2の告白を見ると分かります。

 「ああ、主よ。私がまだ国にいたときに、このことを申し上げたではありませんか。それで、私は初めタルシシュへ逃れようとしたのです。あなたが情け深くあわれみ深い神であり、怒るのに遅く、恵み豊かで、わざわいを思い直される方であることを知っていたからです。」

 ヨナはイスラエルの国の繁栄を熱心に求めた愛国者でした。神さまの祝福は選民ユダヤ人のみに限られるべきと考えていたのです。ヨナ等の愛国者にとっては、ユダヤ人以外はみな敵であったのです。敵とみなしていた民族になぜ神さまのメッセージを届けるのか・・。神さまはユダヤ人だけを特別に顧みて下さる方ではなかったのか・・。アッシリアはイスラエルの脅威でした。どうしてそのような人たちに神さまの愛を伝えなければならないのだろう・・。

 ヨナは決断します。

 3節「ヨナは立って、主の御顔を避けてタルシシュへ逃れようとした。彼はヤッファに下り、タルシシュ行きの船を見つけると、船賃を払ってそれに乗り込み、主の御顔を避けて、人々と一緒にタルシシュへ行こうとした。」

 それに対して神さまの対応は迅速でした。

 4節「ところが、主が大風を海に吹きつけられたので、激しい暴風が海に起こった。それで船は難破しそうになった。」

 神さまはヨナが生きていることさえ嫌になっている危機的なメンタル状態を見て、引き裂かれるような思いで荒療治のようなことをされたのだと思います。しかしそれは、大魚の中でヨナのメンタルケアをするためでもありました。

 神さまは、従わないことを理由にして罰を与えるような方ではありません。それは、私たちに自由意志を与え、私たちを尊重して下さる方だからです。それが創造のみわざだからです。神さまの側で必要があれば、またの機会にオファーがあるだけだからです。

 私たちは神さまの恵みの世界で、何度でも、やり直しができる世界に生かされているのです。神さまの誠実さは人間の不誠実さをものみ込んでしまうのです。 


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