「各々の役割を整えた聖霊の御業」
- 佐々木 優
- 2024年6月22日
- 読了時間: 4分
2024年6月23日(日)
テキスト:使徒の働き6:1~7(新約聖書243頁)
1節「そのころ、弟子の数が増えるにつれて、ギリシア語を使うユダヤ人たちから、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して苦情が出た。彼らのうちのやもめたちが、毎日の配給においてなおざりにされていたからである。」
〇「ヘブル語を使うユダヤ人たち」
・先祖伝来の律法を厳守する保守的ユダヤ教徒
・普段使う言語はアラム語
・当時、ギリシャ語は東地中海世界の「国際公用語」だった故、ほとんどすべ てのユダヤ人が少なくとも多少はギリシャ語を理解できた。
〇「ギリシア語を使うユダヤ人たち」
・ヘレニスト
・アラム語をほとんど、あるいは全く理解しなかった。
・ギリシャ語訳聖書を読んでいる外地生まれ外国育ちのユダヤ教徒。
・敬虔で信仰深い人の多くは、年をとると、聖都エルサレムのひざもとに葬ら れたいと願って、祖国に引っ越してくることがあった。「やもめ」が特に「ギ リシア語を使うユダヤ人たち」のグループに多かったのであろう。
・元々この二つの集団は、それぞれが普段使用していた言語でユダヤ人として の礼拝を行っていたのであろう。
〇「ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して苦情」
・ヘレニスト・ユダヤ人が行った苦情の申し立ては、貧しい人々のために教会 が行っていた配給に関して、彼らのうちの「やもめ」への配慮が欠けていたこ とを気遣ってなされたものだった。
・「やもめたち」は身寄りがないので、「毎日の配給」があらゆる面で必要 だった。
・苦情が出た要因は、「弟子の数が増えるにつれて」・・当時の教会はすでに 万を越す数の会員がいたが、エルサレム教会の助け合い資金(使徒4:35、 37、5:2)の管理運用、会衆のお世話を十二人の使徒だけで行うことに無 理があり過ぎた。
2節「 そこで、十二人は弟子たち全員を呼び集めてこう言った。「私たちが神のことばを後回しにして、食卓のことに仕えるのは良くありません。」
・この問題は、「食卓のことに仕える」新しい指導者たちを任命することで解 決されることとなった。
3~4節「そこで、兄弟たち。あなたがたの中から、御霊と知恵に満ちた、評判の良い人たちを七人選びなさい。その人たちにこの務めを任せることにして、私たちは祈りと、みことばの奉仕に専念します。」
〇「七人選びなさい」の条件
・「評判の良い人」:人をつまずかせないために。
・「御霊に満ちている人」:教会内外で評判の良いクリスチャン。
・「知恵に満ちている人」:この任務にあたるための実践的な能力。
5節「この提案を一同はみな喜んで受け入れた。そして彼らは、信仰と聖霊に満ちた人ステパノ、およびピリポ、プロコロ、ニカノル、ティモン、パルメナ、そしてアンティオキアの改宗者ニコラオを選び」
・十二使徒によってなされた提案は、教会の話し合いの場に出され、承認を得 ることとなった。
・七人の候補者の選出は教会のメンバーによってなされており、使徒たちだけでなされたわけではない。
・七人はみなギリシャ語の名前をもっており、ヘレニストのユダヤ人であろ う。
・「ステパノ」は使徒ではないが、最初の殉教者となり、彼の死がきっかけと なり、迫害が起こり、信者は散らされ、宣教の地はエルサレムから外に広がっ て行くことになる。
・「ピリポ」(十二使徒のピリポとは別人物)はサマリヤ人への宣教を行うよ うになる。エチオピア人の宦官をクリスチャンへと導いた。
・「アンティオキアの改宗者ニコラオ」はイエスさまを信じる前にユダヤ教に 改宗していた。アンティオキアという町とユダヤ教への改宗者は、これから 先、ルカが記す物語の重要な要素となっていく。アンティオキアの教会は異邦 人教会として成長し、世界宣教を行うようになる。
・ヘレニスト・ユダヤ人たちが、宣教の広がりのために用いられた。
6節「この人たちを使徒たちの前に立たせた。使徒たちは祈って、彼らの上に手を置いた。」
・この儀式は使徒たちから権限を委譲されたという公の宣言であり、彼ら七人 は使徒たちの代理人となったことを示している。
・手を置くことはユダヤの習慣であった。
7節「こうして、神のことばはますます広まっていき、エルサレムで弟子の数が非常に増えていった。また、祭司たちが大勢、次々と信仰に入った。」
・「祭司たち」はエルサレム神殿に関係のある人々で、かなりの人数であった(一万八千人の祭司とレビ人がいたと推定されている)。
・「祭司たち」は反キリスト教勢力の旗頭だったはず。その彼らの中からも
改宗者が大勢起こされたことによって、エルサレムでの福音の影響力はいっ
そう強いものになった。