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「思い直しをされる神さま」

  • 佐々木 優
  • 8月24日
  • 読了時間: 3分

2025年8月24日(日)

テキスト:ヨナ書3:1~10(旧約聖書1,579頁)


 ヨナが魚の腹から吐き出されてからどれくらいの月日が経ったのかは定かではありませんが、「再びヨナに次のような主のことばがあった。」(1節)とあります。

 一度、神さまの導きを拒んだヨナに対して、何もなかったかのように、東が西から遠いように(詩篇103:12)忘れ去られ、神さまは再びヨナに声をかけられました。

 神さまにとってヨナが拒んだことなどは決定的に重要なことではなかったのでしょう。神さまはどうしてもヨナにニネベに行ってほしかったのだと思います。そして、ヨナに預言者としての働きから生きがいを得られ、生きて行ってほしかったのだと思います。

 しかしヨナはやはり本当のところはニネベには行きたくなかったと思います。ヨナにとってアッシリアは、悪行に満ちた国、神さまから滅ぼされてしかるべき国、イスラエルにとっては脅威の国、憎むべき敵国であるという、ヨナのその思いはそう簡単には変わらなかったと思います。そのニネベにあわれみをかけようとしておられる神さまに対して喪失体験のような状態に追い込まれたきっかけともなったニネベには・・。

 しかし、神さまはあえてニネベに導かれました。神さまはヨナがニネベに行くことで癒されていくことがあると思っておられたのかもしれません。

 ヨナはニネベに行き、歩き回りました(4節)。歩くというのは土と接することです。人間は神さまによって創造されました。アダムは「土」を意味することばです。歩くことで癒されていくという面があったのかもしれません。

 ヨナが1日中歩き回り、「あと四十日すると、ニネベは滅びる。」(4節)と叫び続けると、ニネベの人々は徹底的に悪の道と横暴な行いから立ち返るための努力をしました(5節~9節)

 すると、10節「神は彼らの行いを、すなわち、彼らが悪の道から立ち返ったのをご覧になった。そして神は彼らに下すと言ったわざわいを思い直し、それを行われなかった。」とあります。

 「思い直す」と訳されたことばは、「戻る 立ち返る」くらいの意味があるようです。なぜ、神さまはニネベに下すと言ったわざわいを思い直したのでしょうか・・。それは、9節「神が思い直してあわれみ」にあるように、「あわれみ」です。

 「あわれみ」ということばには、「悲しむ 自ら慰める 悔い改める 悔やむ」くらいの意味があるようです。このことばは創世記6:6のノアの箱舟で被造物をリセットしようとされた神さまのことばでも使われています。

 創世記6:6「それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた」

「あわれみ」は、この「悔やみ」と同じことばです。

 神さまは、創造の御業についても、悔やみ、あわれみ、思い直されました。そして、ニネベの人々の悔い改めの姿を見ても、あわれみ、悔やみ、思い直されたのです。

 神さまは、あわれみ、悔やみ、思い直される方なのです。

 そして、神さまの被造物へのあわれみ、思い直しの究極はイエス・キリストの十字架に表されたのです。


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