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「危機に際しても生かされる聖霊の賜物」

  • 佐々木 優
  • 11月2日
  • 読了時間: 3分

2025年11月2日(日)

テキスト:使徒の働き11:27~30 (新約聖書257頁)


(27節:そのころ、預言者たちがエルサレムからアンティオキアに下って来た。)

「預言者」とは、神さまから伝えられたことばを民に語る人のことを指します。神さまが信徒一人ひとりに下さるものの中に聖霊の賜物というものがあります。聖霊の賜物とは「イエスさまがご自身の教会に、その務めを適正に遂行できるように与えられた手段、力のこと」と定義できます。

 聖書を見ると、聖霊の賜物にはことばの奉仕と行いの奉仕があったことが分かります。

 〇ことばの奉仕:使徒、預言、教師、霊を見分ける、知恵・知識のことば、異言、など

 〇行いの奉仕:奇蹟、いやし、慈善、助ける、援助、管理、など

 「預言」も聖霊の賜物の中の一つですが、聖霊の賜物は、教会の益のために神さまが与えてくださるもので、教会で用いられるときに、自然にみなの納得になって行くものでありました。

 この時、預言者の一団がエルサレムからアンティオキアに下って来たということですが、両教会の間に親密な交流があったということが分かります(かつてユダヤ人と異邦人の間に大きな隔たりがあった)。

(28節:その中の一人で名をアガボという人が立って、世界中に大飢饉が起こると御霊によって預言し、それがクラウディウス帝の時に起こった。)

 「世界中」とは、当時のローマ世界全体のこと。この預言はクラウディウス帝の治世(紀元44年~54年)に現実のものとなりました(ローマの歴史家によっても証言されている)。神さまはこの時、信徒を守るためにアガボという預言の賜物を与えていた人を通して飢饉に備えるようにとメッセージを下さったのでしょう。神さまは天地創造の時、人間を含む被造物に自由意志をお与えになりました。しかし、アダムが霊的に神さまから離れて以来、被造物界は様々な誤作動を起こしているような状態であり、それ故に苦しむ人間を含む被造物界を神さまは心配し、様々な助けの手をのばしておられるのです。

(29節:弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた。)

 当時、アンティオキアの教会は経済的に裕福な教会であったとのこと。方や、エルサレム教会は貧しい教会でした。エルサレム教会の初期の頃は、信徒が自分の持ち物を売ってそれを共有していたが、それらも枯渇していったのだと思われます。アンティオキアの教会はイエスさまが作ろうとされた教会の原則、自由と自発性に基づいてエルサレム教会への救援の準備を開始しました。聖霊の賜物がみなが同じではなく、それぞれにふさわしく備えられていたように、教会も各々の違いを尊重し、自分の教会には無い部分を他の教会が補って下さっているという意識のもとで存在していくのです。

(30節: 彼らはそれを実行し、バルナバとサウロの手に託して長老たちに送った。)

アンティオキアの教会は救援の物をバルナバとサウロ(後のパウロ)という信頼のおける指導者に託してエルサレム教会の長老たちに届けました。(「長老」ということばが使徒の働きの中でここで初めて登場する。紀元40年代に、エルサレム教会は12使徒から任命を受けた長老集団にリーダーシップが移行しつつあった)

 私たちも誤作動を起こしているこの地上で生きている限り危機に遭遇することがあるでしょう。神さまは危機から脱出できるようにと、私たち各々に様々な聖霊の賜物を与えて下さってもいるのです。そして、脱出に導いて下さるのも神さまであることを本日の聖書箇所も示しているのです。聖書は神さまという御方が愛する人間に何をして下さったのか、何をして下さる御方なのかを示している書だからです。


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