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「人生の土台ー見えないところでやって下さっている神さま」

  • 佐々木 優
  • 9月28日
  • 読了時間: 3分

2025年9月28日(日)

テキスト:マタイの福音書7:24~27節(新約聖書12頁)


24節「ですから、わたしのこれらのことばを聞いて、それを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえることができます。」

 イエスさまの山上の説教を聞いていた人たちがどのような人たちであったのかをもう一度確認します。 

 当時の社会は、ローマの一部権力を握った人たち、また宗教的権威を帯びた人たち、こういった人たちが富を手にし、大方の人たちは極貧に生きることを余儀なくされていた究極の格差社会でした。イスラエルの民は、自分たちが先祖から受け継いだいのちである土地(土地は自分たちの命のようなものだった)をローマの国に取り上げられ、小作人のように働かされるという理不尽な中に置かれている人たちがいたのです。イエスさまの話しを聞いていた聴衆の中には、実際に明日食べる物もないような人たちがいたのです。そして、律法学者・パリサイ人たちも聞いていたと思います。

 大半の人が様々な困難な状況のもとにありました。自力でその状況を打開できない人たちもたくさんいたでしょう。「行う者」と言って、人間の持つ向上心に働きかけるという面も考えられますが、山上の説教全体から考えると、イエスさまがここで言われた「行う者」とは、見えないところで豊かに働いて下さっている神さまがいるから大丈夫だと安心して生きていきましょうという・・意識を向けるくらいのことだと思います。

 本日の箇所で、二つの家が出てきます。一つは「岩の上に建てた家」、もう一つは「砂の上に建てた家」です。襲ってきた災害は同じです。「雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家を襲った」ということです。襲ってきた災害は同じでも結果に違いが出ました。ここでの「家」とは、その人の人生そのものを表していると考えていいでしょう。

 「岩の上に建てた家」は、岩の上に土台が据えられていたから家は倒れませんでした。方や、「砂の上に建てた家」は、倒れてしまい、しかもその倒れ方はひどいものだったとイエスさまはたとえます。イスラエルの土地の表面は、土砂をかぶっているので、家を建てる場合、地面を深く掘り下げなければならないそうです。固くなっている土砂の層を掘るのはたいへん骨の折れる作業で、全身の力をこめて土地を掘って掘って掘り下げて、カチンと岩にぶつかるところまでいかないと、岩を土台とする家を建てることはできないそうですが、これらの骨の折れる作業を、不条理のもとに置かれ、自力で打開することもできない人々を前にして、これほどの努力をして生きて行きなさいとイエスさまが言われるはずがありません。山上の説教の流れからして、ここで言われている人生の土台とは、「見えないところでやって下さっている神さま」のことだと言えるでしょう。

 山上の説教で流れているテーマの一つは、私たちが置かれている生きている現場が大切だということですが、しかし、見えないところで豊かに働いて下さっている神さまがおられるから、私たちが与えられている人生を豊かに生きていくことができる可能性があるということ・・そのことは忘れないでいようねということです。見える世界、見えない世界、どちらにも振り切ってはいけないということです。

 「見えないところでやって下さっている神さま」がおられるという意識の深まりが人生の土台であってほしいというイエスさまのメッセージが山上の説教のしめくくりなのです。

 私たちの人生には襲ってくる様々なものがあるでしょう。その時、「見えないところでやって下さっている神さま」がおられると思えるか否かで何かが変わることもあるでしょう・・。

  


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